海外営業に必要な英語力とは?TOEIC・実務レベル・勉強法を解説

社会人向け勉強法

はじめに

「海外営業に挑戦したいけど、英語力が不安…」

そんな声をよく耳にします。
また、自分も初めて海外営業として働き始める前は同じように思っていました。

TOEICの点数は取ったけれど、実際の仕事でどこまで英語が必要なのか?
英語が話せないと本当に海外営業は無理なのか?

こういった疑問に、海外営業歴15年の筆者が、実体験を交えてお答えします。

MAO
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結論から言うと、完璧を目指しているとエンドレスなので、まずは自分に合った仕事を始めながらスキルを高めていくという選択が最善です。


海外営業に英語力はどのくらい必要?【結論:完璧じゃなくてもOK】

TOEICのスコア目安と英語レベルの関係性

一般的に、TOEICのスコアが●●点あれば〜という話をされますが、実務と直結しないことは多々あります。

前提により異なりますが、あえて定量化するとすればボーダーラインはTOIEIC600点。
このスコアが取れている方は、海外営業にチャレンジできます。

理由は、TOEIC600点までで頻出する語彙は、ビジネスシーンで頻繁に使うからです。
以下のような語彙はビジネスシーンで必須、毎日のように使う表現です。

英単語 意味 用例
proposal 提案書 We sent a proposal to the client.
quote / quotation 見積もり Could you send us a quotation by Friday?
shipment 出荷 The shipment is to be ready by next week.
lead time 納期 The lead time is about 2 weeks.
inquiry 問い合わせ We received a new inquiry from a new customer.
negotiate 交渉する We need to negotiate.
specification 仕様書 Please check the product specifications.
follow up 追跡・フォロー I’ll follow up with the customer tomorrow.
deadline 締め切り The deadline for submission is next Monday.
feedback 意見・評価 We received positive feedback from the client.

ビジネス英語とは

「英語を話せる」と言っても、実際は何を話すのかが重要。
逆説的に考えると、英語を話せない理由は以下2つに分類できます。

①トピックに対して、知識がないから話せない
②トピックに対して知識はあるが、英語での表現方法がわからない

新しい仕事を始めると、基本的に知識ゼロの状態からスタートすることになります。
なので、仕事をスムーズに進めていく流れためには以下を意識します。

①まず、日本語でビジネスに必要な知識をインプットする
②次に、必要な知識を英語で表現できるようにする

意思疎通ができれば、最初のうちは英語を使ってもOK。
ビジネスで正しくコミュニケーションが取れることが最優先、難しい単語を無理に使う必要はありません。

ビジネスで意思疎通を取れる英語、これがビジネス英語です。

「話せる=仕事ができる」ではない理由

英語をきれいな発音で話せる人が、仕事ができる訳では決してありません。

実際のところ、英語力は営業マンとして他のスキルがあることが前提となります。

  • 自社製品の知識があって、日本語でプレゼンテーションができる
  • 顧客との関係性が良い、信頼関係が構築できている
  • 社内関連部署との連携がスムーズにできる

そのうえで、英語力が求められます。
営業マンに必要なものは対人コミュニケーションが上手かどうか、実はこのスキルを向上させることは英語を学ぶ以上に大事です。


海外営業で実際に英語を使う場面は?【4技能のうち重要なのは?】

読み書き|メール・資料作成で毎日使う

「読む・書く」スキルは、とても重要です。なぜなら、お客様とのコミュニケーションツールは、基本的にメールかチャットベースだからです。

電話やオンライン会議も行いますが、その前にある程度話す内容をメールで伝えます。
とくにアメリカやヨーロッパとのやり取りは時差があるため、メールが便利。

スラックやマイクロソフトメッセンジャーは、社内コミュニケーション用途で使うことが多いですが、企業同士で使うケースも増えてきました。
その場合、チャットで連絡を取り合います。

項目 内容
利点① 時間をかけて英語を考えられる:会話と違って即答の必要がなく、辞書や翻訳ツールを使って丁寧に文章を作れる。
利点② 発音や聞き取りが不要:リスニング力や発音に自信がなくても、文字で伝えられるので安心してやりとりできる。
悪い点① 要点をまとめるスキルが必要:長々と書くと伝わりにくいため、簡潔で的確に伝える英語力が求められる。
悪い点② 感情が伝わりづらいことがある:声のトーンや表情がないため、誤解を招くリスクがある。丁寧な表現や絵文字の工夫も必要。

リスニング|会議・商談・展示会で必須

リスニング力が必要となる時は、現地に訪問して顧客と実際に会うときです。

先方のオフィスで実施する会議、一緒に食事する時にはリスニングが必須。
これは海外出張に行き始めると気づくことですが、その国特有の英語に慣れる必要があります。

たとえば、アジア圏のシンガポールやマレーシアは、シングリッシュ
中国人が話す英語はチングリッシュ
アメリカ人はとてもスピーディーに巻き舌で話す、ネイテイブ英語

海外営業職は、デビュー当初はアジア担当から始まることが多いと思います。
日本から距離も近く、お互い第二言語で話すことが多いため、英語の難易度は低め。また同じアジアだと考え方が近いので、非言語コミュニケーションがスムーズです。

ネイティブのスピードやアクセントに慣れるには…シャドーイングがおすすめです。

スピーキング|商談・アイスブレイクで信頼を得る

スピーキング力を高めるには、会話を繰り返すことです。

自転車ギターと同じで、練習した分だけドンドンうまくなっていきます。

また、完璧じゃなくても「伝える力」がカギ。ピリッとした空気で話すことが大事ですが、
相手が緊張しすぎていると伝えにくいケースもしばしば。笑顔で話すということは万国共通で大事なので、アイスブレイクなども上手にいれていきましょう。


英語が苦手でも海外営業はできる?【補完スキルと現場対応】

翻訳ツール・通訳・サポートの活用

Google翻訳とチャットGPTを上手に使えば、文字でのコミュニケーションは、英語が苦手でも問題ありません。

わたしは使用したことがありませんが、通訳アプリを使用している人もいます。

わたしが最もオススメする方法は、英語が上手な先輩やクライアントから見て学ぶこと。
海外営業になる人は、外国語大学、上智大学、海外の大学などを卒業されている方が多く、ネイテイブに近い水準で英語が話せる人もたくさんいます。

わたしが海外営業1年目の頃は、商談の内容を録音させてもらって、それを何度もくり返し聞いたり、聞いて書いたり(ディクテーション)していました。本当に必要なビジネス英語を最速で学ぶ勉強方法です。

語学以外の強み(資料力・提案力・現地理解など)

現地文化に詳しい」「業界知識がある」、これらは大きな武器になります。

現地文化に詳しいと、顧客と食事するときに盛り上がります。そして、その雑談に必要な英語をドンドン学べます。

また仕事をしていくうえで、業界の知見があれば非常に有利。
ビジネス英語力を磨いていくためには、その知識があることが前提となるので、業界知識がないと英語力はなかなか上がりません。

たとえば、IT業界では、以下のような言葉を頻繁に使います。これらの意味をしっていないと、英語を知っていても相手が言いたいことを聞き取れないため、まずは知識習得が最優先となります。

英語表現 日本語訳
server サーバー
database データベース
API アプリケーション連携機能
UI / UX ユーザーインターフェース / 体験
front-end フロントエンド(開発)
back-end バックエンド(開発)

実体験:海外営業1年目で特に苦労したこと

MAO
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わたしの海外営業1年目のとき、特に難しいと感じたことは以下です・・
いま思い返せば、毎日必死でしたw

1,業界知識・製品知識がないため、お客さんとスムーズに会話できない
2,担当者が社長など役職の高い人が多く、食事の席でも会話が続かない
3.先輩の英語がうますぎて、億劫になっていた

まず最初に、お客さんのほうが業界経験が長いため、イニシアティブを取るのが難しかったです。
これは、英語というよりも、経験していかないと乗り越えられない壁。

次に、海外営業していると、担当者〜企業のCEOまで会う人は様々です。
しかし、こちらは会社の代表として海外へ行くため、役職の高い人達と交流する機会が多く、社長と話すこともあります。20代の自分には、なかなか大変な時間でした笑

また、先輩が海外大卒で、幼少期も海外で過ごしていた帰国子女だったため、英語力で引け目を感じていたこともありました。しかし毎日がんばって、英語の勉強と営業スキル向上に努めていった結果、現在は当時の先輩以上のスキルを習得できていると確信しています。


どうやって英語力を伸ばす?海外営業向けのおすすめ勉強法

TOEIC対策+実務英語への橋渡し

海外営業していくうえで、TOEICスコア600点は足切りライン。
このスコアが取得できているとうい前提で、使えるビジネス英語を習得していく必要があります。

①まず、TOEIC600点レベルで頻出する語彙や表現を覚える
②その語彙を使用して、英語チャット・メールの練習をする

語彙は、何度もくり返し使っているうちに、自分の血肉となって自然と自分の言葉で表現ができるようになります。そのためには反復することが必須、速くビジネス英語を習得するには反復の回数と質を高めることです。

シャドーイング・ディクテーション・英語日報

使えるビジネス英語」を身につけるには、聞いて→真似る→書くのサイクル。

シャドーイングとディクテーションは、インプットとアウトプットの自主練に最も適した方法です。

シャドーイングであれば歩きながらできますし、ディクテーションはとくに深く考えずにただやるだけでOKなので、難易度高くなく実施できて英語力がついていきます。

わたしは、10年前はBBCやNHKラジオを毎日聞いていました。スクリプトを見ながら聞いたことを真似て話したり、書いたりして、ビジネス英語力を高めていきました。しかし最近ではスマホアプリが発展しているので、より効率的に学習ができるようになっています。

ビジネス英会話におすすめのサービス・教材

  • シャドテン

  • italki

  • Bizmates

数あるアプリの中でオススメなのはこの2つ。
シャドテンやitalkiで毎日気軽にリスニング力とスピーキング力を鍛えて、週末にBizmatesでオンライン英会話を受講するサイクルを構築することで、英語力がドンドン上がっていくはずです。

まずは3ヶ月〜半年継続できれば、始める前と比べたときに、実力がついたことを明確に実感できる可と思います。

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まとめ|語学力は“手段”であり“すべて”ではない

海外営業では、語学力だけでなく、人との信頼関係、異文化理解、提案力など人間力が求められます。

英語はあくまでコミュニケーションツール。
あなたの強みと掛け合わせることで、もっと大きな武器になります。

また、英語を学ぶには時間がかかります。ネイテイブに近づこうと思ったら、5年〜10年というロングスパンで考えて実行していく必要があります。壁にぶつかることも多く、それらを乗り越えていくことで、考える力や人間力が鍛えられていきます。

実は、語学を学ぶことで得られる副産物のほうが、大切かもしれません。


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