海外営業とは?仕事内容・必要スキル・キャリアパスを徹底ガイド

海外に行ける仕事

はじめに:英語を活かして世界を舞台に働くという選択肢

「英語を使ってグローバルに働きたい」
「海外出張や駐在のある仕事に就きたい」

MAO
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そんなあなたにオススメなのが「海外営業」というキャリアです。

本記事では、15年以上にわたって海外営業を経験してきた筆者が、
リアルな仕事内容・必要なスキル・キャリアパス・年収までを網羅的に解説します。

1. 海外営業の仕事内容とは?

▸ 基本的な業務内容

  • 海外顧客との商談(オンライン・対面)
    海外営業に限りませんが、営業活動において顧客との商談は必須。
    また顧客が海外にいて、距離が物理的に離れているため、国内営業以上にオンライン商談の回数が多い傾向にあります。
  • 出張による営業活動(展示会・現地訪問)
    海外出張は、海外営業の醍醐味です。
    現地の代理店訪問、エンドユーザーへの製品紹介、マーケット・リサーチ、海外での展示会出展など、少なくとも年に数回は海外へ行く機会があります。
    わたしの場合、最大で年間の3分の1近く海外で過ごしていました。
  • 輸出入に関する調整・契約管理
    貿易実務や、売買契約における書類作成(NDA・Sales Agreement)にも日常的に携わります。輸出先の国の規制が変わると、これまで販売していた製品が販売できなくなるため、
    常に最新情報のチェックが必要です。
  • 社内の調整(製造・品質・物流・経理など)
    社内関連部署との調整業務も、海外営業の仕事です。
    メーカーであれば工場との調整、商社であれば仕入先との納期調整など、物流担当者とのコミュニケーションが必要となってきます。
  • 英語での資料作成・レポート提出
    販売先への見積書、新製品プレゼンテーション準備など、英語での資料を作成することがたくさんあります。最初は難しく感じて時間がかかるかもしれませんが、徐々に慣れてきます。
    使用する英語もパターン化されてきて、簡単に作れるようになってきます。

▸海外営業ならではの特徴

  • 時差や文化の違いを超えたコミュニケーション力
    海外営業はさまざまな国籍・バックグラウンドをお持ちの方々とビジネスができる素晴らしい職種。それゆえ、利害関係者の考え方に違いが多いこともしばしばあります。
    固定観念にとらわれず、状況は常に変化している、日本の常識は世界の非常識という考えを持っていると、上手くいくことが多いです。自分の固執した考え方を払拭して開眼できる素晴らしい機会となり得ます。

  • 中長期的な関係構築が重視される
    海外市場を開拓するのには、時間がかかります。大きな理由の一つとして、日本でしてきたブランディングが通用しないため、リブランディングが必要ことが挙げられます。消費者、エンドユーザーが日本人でないと彼らにあった新しい訴求が必要、
    マーケティングリサーチをして、計画を立ててから実行に移すのに時間を要します。たとえばUNIQLOは、ロゴやフォントの刷新、シンプルな「LifeWear」コンセプトの導入により、グローバル市場での地位を確立しました。これは大企業の戦い方ですが、中小企業の場合は大企業が作ったマーケットの穴を埋めるなど、工夫して戦うことが必須です。
  • 商談スピードが国によって異なる
    商談の進む速さが国によって大きく異なる点も海外ビジネスの特徴、判断の速さはその国の文化を如実に表します
    たとえば中国は、トップダウンで物事が決まる傾向が強く、意思決定から実行までのスピードがとても速いです。対して日本は、リスクを取る文化が極めて少ないため、商談を始めてから製品導入に至るまでゆっくりと進んでいきます。(100を101にすることが最優先、時間をかけても100以下には絶対にしないとういう考え方)
    速く進めていくことでビジネスチャンスを逃さない利点がある一方、確認すべきことを感覚でOKとしてしまうことで、後々影響が生じることがあるため、適正な判断力と想像力が求められます。
MAO
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海外営業と一口に言っても、業界によって求められる知識やスタイルは大きく異なります。
次章では、IT・食品・製造業など業界別に海外営業の特徴を詳しく見ていきましょう。

2. 業界別・海外営業の仕事内容の違い

▸ IT・SaaS系

  • ソリューション営業が中心IT関連の営業の特色として、販売先の顧客(エンドユーザー)が、
    ソフトウェア等の製品を導入するメリットを把握していないことがあります。
    その場合、その製品を導入するメリットを、英語で言語がしてあげることが大切です。
    たとえば、「製品A」を導入する前と導入した後の違いを、Before/After形式で見える化させたり、費用対効果を金額にして定量化したりすることで、顧客から信頼を得ることができます。
    とくにアメリカ・中国はIT化が日本よりもはるかに進んでいます。
    現地の会社ができていない領域を把握して、自社でどのようにカバーできるか、
    API連携での協業やクロスセルができるかなど、販売店と協力して考えていきます。

▸ 食品・消費財

  • 規制・賞味期限・輸送管理が重要
    食品輸出の際には、その国の規制にそって商品ラベルを英語で作成する必要があります。
    現地の規制が変わると、これまで使用していた原材料では輸出できなるため、輸入商社と連携して製品をアップデートする必要があります。
    また、賞味期限も重要。輸送に時間がかかると、必然賞味期限が短くなっていくので、陳列をいつにするか、プロモーションに間に合うように出荷できるかなど、慎重に進めていきます。
  • 海外の文化やトレンドを読む力が必要
    ポップやパッケージデザインに、現地の文化やトレンドを組み込むことで、
    消費者の購買意識を上げていくよう工夫します。
    これは海外マーケティングの分野ですが、その国の定番商品や人気商品をしっかりと真似ることが大事です。オーガニックグルテンフリー、レスカフェインなどは、日本以上に普及しています。
    また外観においては、北米で製品をローンチする際には、英語でネーミングすることが一般的ですが、中国大陸や台湾などでは感じのほうが好印象となります。

▸ 製造業・部品系

  • 技術打ち合わせが頻繁
    最近は英語ができるエンジニアが増えてきたため、品質関連書類や、製造業で使用するデータシートなどは、日本語に翻訳する必要が減ってきました。購入する側は、他の国で設計製造された製品を使用するため、国内製品を扱う以上に慎重に製品をチェクするため、打合せの回数も自然と多くなります。
  • 海外工場とのやり取りも発生
    自分の会社の工場が海外にある場合だと、OUT/OUTという販売スキームとなります。
    (例:自社中国工場 → 販売先アメリカ)
    この場合、海外工場の担当者との出荷調整を行いながら、販売先のアメリカとの連携が必要となるため、スピーディーな対応が求められます。
    また、貿易書類を誰が作成するか、輸出先の国の港をどこにするかなど、全体像をしっかりと把握しておかないと、トラブルが発声したときに対応が難しくなります。
  • 現地パートナーとの連携がカギ
    海外ビジネスが成功するかのカギは、良い販売店とパートナーシップを確立できるかといっても過言ではありません。
    ・どういったチャネルへ販売していくか
    ・営業資料、マーケティング資料をどのように作成していくか
    ・プロモーションをいつ実施するか

定期的に予実管理ミーティングを実施して、計画とのブレが生じていないか、役割分担をどうするかなど、戦略的に実行に移していく必要があります。

MAO
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それぞれの業界で求められる役割が違うことが分かりました。では、共通して必要なスキルとは何でしょうか?
次は、海外営業に求められる語学力やビジネススキルについて解説します。

 

3. 海外営業に必要なスキルと資格

▸ 語学力

  • TOEIC800点以上が目安(最低でも700)実際にビジネスで必要な英語力は、TOEICの点数だけでは確認することができません。
    しかし、TOEIC700点前後で頻出する語彙は、プレゼンテーションやメールのコレポンで、よく使用します。以下は、よく使う英語表現です。

    英語表現 意味・用途 例文
    If you have any questions, please feel free to contact me. 質問があれば遠慮なく連絡してください(メール文の締めによく使う) If you have any questions about today’s meeting,
    please feel free to contact me any time.
    In conclusion / To sum up まとめると、結論として(プレゼン・報告書の締め) In conclusion, the project was a great success.
    Compared to / In comparison with ~と比較すると(グラフ・分析・比較などで使う) Compared to last year, our (sales) revenue increased by 15%.
  • ライティング・スピーキング力も重要 

    現代は、チャットコミュニケーションが主流の時代となりました。日英どちらにも共通して言えますが、ライティング力はビジネスにおいて必須スキル。①相手の立場を考える
    ②伝えたい内容を明確にする
    ③日本語でまとめてから、英語で書くこのような手順でまとめていきます。以下は、骨組みの一例です。またスピーキング力は、顧客やパートナーと対話するときの必須スキル。
    ビジネスに加えて、時事などの雑談もできれば理想的です。

Hi @Chris,
Following up on last week’s sales meeting, please find the summary below:
1. Sales target for next Fiscal Year :
2. Marketing promotion budget and action plan :
3. Other notes
Appreciated it if you could share your thoughts by Friday.

▸ ビジネススキル

  • 論理的思考
    英語で話をする時、曖昧な表現はNGです。基本的な表現の構成は、以下となります。
    ①結論
    ②理由日本語と大きく異なる点は、主語(Subject)の次に動詞(Verb)がくるので、伝えたいことを最初に明確にしておくことが前提です。言い換えれば、伝えたいことが頭の中でまとまっていないと、英語はもちろんのこと、
    母国語の日本語でも話せません。
  • 数字に強い(利益計算・為替管理など)
    数字の計算も、日常的に必要です。
    暗算したり、i-phoneの電卓機能を活用したりして、売上や粗利益を算出することはよくあります。
    また、為替レートの計算も頻繁に必要です。当日のドル円レートと先方が使用する通貨でのレートは常にチェックして、瞬時に計算することが大切です。

▸ 人間力

  • 異文化理解前提を決めないほうが、異文化コミュニケーションはうまくいきます。
    文化や国籍が違えば商慣習は大きく異なって、重きを置く場所も違ってきます。
  • 忍耐力・柔軟性新規ビジネスが成立するに至るまでは、たくさんのブロッカーがあります。
    そのため、問題を一つ一つ着実に解決していく、忍耐力が求められます。
    また、法規制やルールも変化しています。関税率が変わったり、HSコードが変わったり、大企業の社内ルールが変わったりしたときに、柔軟に変化に対応できるかが、成功できるかどうかのポイントです。
  • 自主性と責任感
    海外ビジネスには、イニシアティブ・インデペンデント(initiative/independent)という言葉がしっくりきます。自分で考えて行動する力(自走力)、まずは人に頼らずに自立して物事を進めていく力が、日本以上に求められます。
    海外には一人で訪問することがほとんどなので、その場で顧客と話して次のアクションを考えられる判断力は必須スキルです。

4. キャリアパスと年収の目安

▸ 年収レンジ

  • 初級(〜3年):400〜600万円海外経験は、未経験からでもスタートできます。
    わたしが初めて海外営業としてキャリアを開始したときは、このレンジでした。
  • 中堅(3〜10年):600〜900万円後輩もできてきて、独り立ちできるようになってくると、上記のような給与体系となってきます。
  • 管理職・駐在:1000万円以上も可能マネージャーや部長クラスになってくると、年収1000万円は現実的です。総じて言えるのは、海外営業職は、国内営業職よりも、年収が高く設定されています。
    理由は、以下の通りです。①希少性が高い (英語を話せるビジネスマンが少ない)
    ②①のため、相対的に出世ペースが速く、給料が上がりやすい
    ③出張手当など、基本給プラスアルファの支給が多い

    キャリア段階 年収目安 特徴・補足説明
    初級(〜3年) 400〜600万円 未経験からのスタートも可能。筆者もこのレンジからキャリアを開始。
    中堅(3〜10年) 600〜900万円 独り立ちし、後輩の指導もできるようになる段階。実績次第で昇給も見込める。
    管理職・駐在 1000万円以上可能 マネージャー・部長クラス。国内営業より年収が高い傾向。出張手当や手当が豊富。

▸ よくあるキャリアパス

  • 海外営業 → 海外駐在員 → 海外拠点責任者海外営業は、国内営業と比べると競争率が低いため、出世が速い傾向にあります。
    現地法人を設けている企業だと、駐在員から拠点責任者になることが多いです。
    実績を残すことができれば、短い期間で現地法人のCEOになることも珍しくありません。
  • 海外営業 → 海外マーケティング/法務→ グローバル戦略職
    もう一つのキャリアパスは、営業職からマーケティング/法務 などの経験を積んで、企業の海外戦略全般に携わることです。
    日本の国内市場は、人口の減少からシュリンクしていくため、企業は成長が期待できる海外に重きをおいています。
    海外市場の販売戦略、戦術が立てられる人材はとても希少で、ニーズの高いポジションです。
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では、未経験者でもこのようなキャリアを目指すことはできるのでしょうか?
次章では、未経験から海外営業を目指す方法とポイントをご紹介します。

5. 未経験から海外営業になるには?

▸ 求められる素質

未経験から海外営業へ転職するには、2パターンあります。

①英語はできるが、営業経験がなく、業界に精通していない
②営業経験があって、業界に精通しているが、英語が苦手

  • 英語力と意欲があれば未経験でも可能

ある程度の英語力があれば、ビジネスレベルに到達するまでに必要な時間は短いです。
理由は、ビジネスで日常的に使う英語は、パターン化されてくるからです。
意欲があれば、ビジネス英語はもちろんのこと、業界知識や営業スキルもグングン上がっていきます。

  • 国内営業や貿易実務経験があると有利

もう一つは、これから英語を勉強していくタイプの方。
このパターンで転職される方も多くいます。
英語はコミュニケーションツールなので、言いたいことが母国語の日本語でまとまっていれば、あとはアウトプットするだけ。AIを上手に活用すれば、語学習得のスピードはびっくりするほど速くなります。

▸ 転職のポイント

  • 自己PRで語学力+調整力をアピール

    海外営業では、英語力だけでなく、社内外との調整力が大きな武器になります。
    未経験者であっても、「語学スキル」と「柔軟に動ける力」を具体的なエピソードで示すことで、採用担当者に好印象を与えることができます。

    たとえば、留学経験があれば「異文化の中でも自分の意見を伝え、協働した経験」、アルバイトや前職での顧客対応経験があれば「多様な立場の関係者と調整した事例」を盛り込むと効果的です。

    例:

    「留学中、複数国の学生とグループワークを進める中で、文化的な違いを乗り越え、プレゼンをまとめあげた経験があります。」

    企業は「すでにできる人」だけでなく、「柔軟に動ける人材」も求めています。過去の経験から“応用可能なスキル”をPRしましょう。

     

  • 業界研究と職務理解が鍵

未経験で海外営業を目指す場合、「なぜその業界で働きたいのか」「具体的にどんな業務を担当したいのか」を説明できるかどうかが、面接突破のカギになります。

海外営業といっても、食品業界とIT業界では業務内容が大きく異なります。前者は輸出管理など確認作業が多く、後者はソリューション提案型の営業が求められます。
業界研究を通じて「どんなスキルが求められるか」「どんなカルチャーか」を把握しておくことで、企業側とのマッチング度を高められます。

職務内容を理解したうえで、自分の強みや経験をどのように活かせるかを語ると、説得力のある志望動機になります。

▸ おすすめ転職エージェント

  • リクルートエージェント(外資・グローバル職に強い)
  • doda(業界別サポートが充実)
  • JACリクルートメント(外資系特化)

 

 

MAO
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ここまで読んで、「実際はどうなんだろう?」と気になる点も出てきたかもしれません。
次は、**海外営業に関してよくある質問(FAQ)**に答えていきます。


6. よくある質問(FAQ)

Q. 英語が完璧でないとダメ? → 完璧でなくてもOK。伝える意志と積極性が評価されます。

Q. 海外出張はどのくらいある? → 業界・企業によりますが、月1回〜年数回が目安です。

Q. 駐在との違いは? → 海外営業は日本拠点ベース、駐在は現地常駐。責任範囲が異なります。


まとめ:海外営業は「語学×ビジネス」の実践の場

 

海外営業は、単なる英語力だけでなく、国を超えて人と信頼関係を築く力が問われる、やりがいのある仕事です。

あなたの語学力・柔軟性・行動力を活かし、「世界を舞台に活躍するキャリア」への一歩を踏み出してみませんか?

 

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